会長ご挨拶

滑志田 隆

日本林政ジャーナリストの会会長 (毎日新聞 OB)




森林行政の理想と現実――共に学び、提言していこう


我が国の国土の 3 分の 2 を占める森林は国土保全、災害防止、水源の涵養、地球温暖化の防止、生物多様性の保全、森林セラピーなど多面的な機能の発揮を期待されており、国民にとってかけがえのない「緑の社会資本」です。

一方、戦後の植林によって整備された人工林は利用可能な資源として充実しているものの、長期的な国産材の需要減によって、十分に活用されているとは言えません。このことは国内の林業生産活動の停滞を招き、林業従事者の減少や高齢化にもつながっている現実がありますます。

天然資源としての森林が健全な状態で育成され、その恩恵が後世において確保されるためには、林業・木材産業が元気を取り戻す必要があります。それは経済大国として地球規模の環境問題の解決に貢献しようとする我が国の重要な責務の一つであると言えましょう。今、日本の森林の近未来の姿が世界の人々から注視されていると言っても過言ではありません。

日本林政ジャーナリストの会は日本の豊かな森林を健全な姿で後世に伝え、国民の多様なニ ーズに対応していくための政策手法を探る研究・学習会です。そして、地球規模の視点から森林保全を通じた環境貢献への道筋を提言しています。会の構成は新聞・放送・フリーなど多方面で活動するジャーナリストのほか、カメラマン、官僚 OB、業界団体、環境団体の人々など広範な才能を一堂に集め、引き続き、世界と日本の森林の現状、その可能性、林業・木材産業の理想と現実を追求していく方針です。あなたもどうぞ、わたくしたちの仲間にお入りください。


【日本林政ジャーナリストの会の沿革】


1979 年 (昭和 54 年) 発足。農林水産省を担当する一般紙、業界紙の記者クラブ員、OB が中心となり、「今後の森林の在り方や林政の進むべき方向を、ジャーナリスト活動を通して提起していきたい」(設立趣意書)と呼びかけて結集。これまでに木材需給、林業生産基盤の強化、国有林の経営改善などへの提言多数。また世界自然遺産の白神山地、屋久島のほか丹沢山塊、四国山地などで森林・林業の現状に関する現地共同調査を行った。最盛期(1996 年 2 月)の会員は個人 113 人、賛助会員25団体。2022 年 7 月現在の個人会員23人、賛助会員 17 団体。設立時以来、事務局を一般社団法人・日本林業協会に置く。現会長は 7 代目。

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